美鈴サンタ2011'札幌
美鈴サンタ札幌スタッフレポート 12月23日(金) 訪問先
1)札幌乳児院 13時〜14時30分
2)児童養護施設 興正学園 15時〜16時20分
【札幌・札幌乳児院 】
訪問施設: 札幌乳児院 13:00〜14:30
訪問者 : 上田小織, 種市真澄
岡崎さんが出迎えてくださり、お話を聴かせてくださいました。
定員40名のところ、現在は28名のお子さんがいらっしゃいます。職員の方は、お子さんと関わっている方は、34名です。勤務体制は、早出、日勤、遅番、夜勤と分かれていますが、その中でもさらに30分単位で細分化され、細やかなお世話が出来るよう、配慮されていました。
私たちが伺った時間子供達は、ちょうどお昼寝中だったのですが、数名のお子さんがおきていたので、まず会わせていただきました。みんな澄んだ瞳をして天使のようでした。上手にアゥアゥとお話をしてくれる赤ちゃんがいて、幸せな気持ちにしてくれました。お昼寝中の子は、おひな巻きと言う巻き方で"さらし"を巻いて居ましたが、そうするとお母さんのおなかの中に居た時と同じ体勢になり、落ち着いて眠ることが出来るそうです。目覚めるとすぐにはずしていました。
まだまだずっと、子供達の側に居たかったのですが、お話を伺うことにしました。
職員の方の仕事は、色々有りました。
まず、子供達を大切に育てる事。
心がけていることは、呼ばれたときにはすぐに駆けつける。とにかく行く!それを繰り返すことによって、信頼関係を築いて行くとの事でした。そうすると人を信用できるようになり、やがて"この人大好き"という特定の人が出来るようになる。担当者は、その特定の人に成れるよう心がけているそうです。巣立ったときに、いろんな人を好きになり、モノを大切に出来る子になってくれると信じています。そのような基礎の部分をどのようにして作っていくかを、日々真剣に考えているそうです。
職員の方は常にアンテナを張って、見られたらすぐに寄っていくよう努めているそうです。それは、お母さんと子供との関わり方に似ていると思う。やがて何をして欲しいかピン来るようになるとの事でした。もう一つ大切な仕事は、親を育てる事だそうです。いかにしてお母さんになってもらうか考えているそうです。自分たちはそれまでの代わり。"母性のスイッチを入れる方法"を教えるのに心を砕いているとの事でした。それには、子供の力を借りるそうです。
離れて暮らしているけれど、日々の成長を伝える事によってお母さんもいっしょに育てている気持ちになっていただく。「最近はこういう物が好きなので、いらっしゃるときには、持ってきてくれたら嬉しいんです。」などと伝える。すると、大抵のお母さんは、持って来ます。自分の子供がそれを使っている姿を見て喜びを感じ、それによって母として芽生えるモノがあるそうです。子供の笑い顔を度々見ていると、どんどん母親の表情も変わっていく。そうやって、母性のスイッチが入るのを待つそうです。
成長していく姿を目の当たりに出来ないため気持ちも離れがちになる方に、出来るだけ面会に来ていただけるように働きかけているそうです。しばらく足が遠のいている方には、写真を入れた手紙も出しています。との事でした。
そうして、健全な母子関係が成立するようになったら、家庭に帰って行ったり、またそれが叶わない子は、里親の方の所へ行ったりします。また、他の施設に行く子も居るようです。いずれにしても、周りのサポート体制をどう作るかということが重要だとのことでした。ファミリーソーシャルワーカー(家庭専門相談員)や児童家庭支援センター・児童相談所・その他色々な方が、子供達の未来をつないでいるそうです。
最後に悩みは有りますかと伺ったら、赤ちゃんが多いので4〜5人一度に鳴き始めると大変だとおっしゃっていました。本当はじっくり一人一人に向き合いたいのに手が足りない事があるそうです。そんな時には、まずお腹のすいている子にミルクをあげ、次に抱かれたがっている子を抱き上げ、おむつの子のお世話をするそうです。瞬時に対応を判断しなければなりません。特に職員が少ない夜などは苦労するとの事でした。
もう一つは、普通の家庭なら、大人は朝「いってきます」と言って出かけ、夜「ただいま」と言って帰ってくるのに、朝「来たよー」と言い、夕方「さようなら」と言って帰って行く。自分たちの家には大人が住んでいないと感じているのではないかと心配しています。だから、一刻も早く里親と巡り会うなどして、普通の家庭生活を送らせてあげたいとの事でした。
これを読んでくださっている方に呼びかけたいことは有りますかと伺うと、近くにいる子育て中のお母さんさんに、声を掛けて欲しい。お母さんが孤立しないように、地域で子供達を育てられるようになったら解決できることも、たくさんあると思いますとおっしゃっていました。同感です!
岡崎さん、お忙しい中たくさんお話を聞かせてくださりありがとうございました。
(種市真澄 記)
【札幌・興正学園】
■15時〜16時20分
施設種別 児童養護施設 興正学園
設置主体 社会福祉法人 常徳会
施設概要 児童養護施設 興正学園 60名
興正チャイルドホーム 6名
興正こども家庭支援センター
白石興正保育園、青葉興正保育園、中の島興正保育園、平岸興正保育園
今年は、うれしいことに雪に降られずスタッフ2名にて興正学園を訪問しました。
施設長様と事務長様に対応していただき、まずは、皆様から預かった大切な寄付金をお渡し、
お話を伺ったのち施設を見学させていただきました。
興正学園は、昭和20年7月、終戦一ヶ月前の飢えと貧困と著しい社会混乱の中、国の児童に対する
福祉的政策がなされていないことを救済すべく生まれた施設です。
当時は基本的人権の尊重などは影をひそめ、大人は男女問わず死をもって国に報いるという感覚を強いられた時代でした。戦争孤児から始まった施設ですが、今では親による虐待、育児放棄により現在60名の子供たちが生活しています。
興正学園では、職員は36名で24時間3交代制で対応し、幼児においては、現在16名に対し先生は8名で対応しています。
小さいうちは生活全般のお手伝い、大きくなってくると進路相談や心のサポートなど関わりかたは変わってくるようです。
現在、札幌市内の児童養護施設は5ヶ所あり、約400名くらいの受け入れに対し、児童相談所では500〜600名を抱えています。
札幌市内で受け入れられない場合、市外の児童養護施設へ行くしかありません。
養護施設の特色は、自分で施設を選べないこと。
保育園でもある程度選べるようになったようですが、養護施設だけは行政の決めたところに行くしかありません。少子化なのにニーズが足りていないのが現状です。
とはいえ国としては、コストも人件費もかかる施設を増やすより、里親を増やすほうが国としては進めやすいようです。
それは最初に行った乳児院で、最近、里親になる人が増えているという現象につながります。
手がかかる難しい子は児童養護施設、比較的問題の無い子は里親というように、住み分けがされてきているようです。
さらに、国では小規模児童養護施設をすすめていて、興正学園でも今年1月から興正チャイルドホームを開設しました。
政令指定都市である札幌では、現在、この1箇所のみです。
こちらには、小学生から中学生の6人の子供たちが生活しています。
こちらの利点は、少ない人数なので子供と接する時間や情報が多くなり、十分配慮がいきとどくこと。
調理している姿や、洗濯している姿などを見ることにより家庭を身近に感じることが出来、
より一般家庭に近い形で社会性、しつけなどが積み重なっていきます。
しかし、すべてがグループホームになるほうが良いのかというと、「集団だからこその経験も大切」と施設長様は言います。
国はグループホーム化の流れにありますが、興正学園では今後も家庭的な生活と集団的な生活の両方を大切にしていくようです。
では子供たちは施設でどのような思いで暮らしているのでしょうか。
子供たちは、いつか家に帰りたいと思っています。
そこで、施設の先生方は子供たちの面倒を見るだけではなく、親を育てることもしています。
先日行われた生活発表会では、子供たちの親が一番前で自分の子供たちの歌や踊りを楽しんでいました。
こうして子供たちが輝いている姿を目の当たりにすることで、子供を愛しく想い、早く引き取りたいという親たちの自発的な想いを下支えしています。
いずれは、親が引き取って育てていくようになることが施設の目標です。
そのため、毎日先生方は全身全霊で子供たちと向き合っていきます。
昨年、話題になったタイガーマスク現象。それはブームで終わらず、今年も想いが届けられているようです。
今後も、多くの方に児童養護施設の現状を知っていただき、地域で、社会で子供たちを見守り、育てていけることを祈ってやみません。
(札幌スタッフ 上田小織)
施設を訪問しての感想 上田小織
3年目になる美鈴サンタ。今年もこの機会を頂き感謝いたします。
美鈴サンタの活動で知った児童養護施設、乳児院の現状は、私に多くの想いをもたらしました。
まずは、自分に何が出来るのか。どうしたら想いを形に出来るのか。
自分の責任で出来ることからはじめようと、縁のあったボランティア団体に登録しました。
そこでは、児童養護施設の子供と文通をして心の母親になるという活動をしています。
私も、今年から小学1年生の女の子と文通を始めました。
お互い些細な話を書いていますが、施設の行事に呼ばれて顔を合わせることにより、少しずつ
理解が深まっていくような気がします。
私の周りでも、私が始めたことで少しづつ興味を持つ人が増えてきています。
まずは、私が身をもって体験することで私が変わり、周りの人に理解してもらえるようになりたいと思います。
乳児院の赤ちゃんたちや養護施設の子供たちは、真っすぐに愛情を求めてきます。
それをみると、子供は何も変わっていない。大人が社会が変わってしまったのだと感じました。
でも、人はだれでも心の奥に母性を持っていると思います。
乳児院の理事長さんが言う、母性のスイッチの入れ方が分からないだけ。
美鈴さんの言うとおり、まずは気付いた人から、出来る人から始めていくしかありませんね。
私は私に出来る形で今後も活動していきたいと思います。
来年も再来年も末永く美鈴サンタが続いていくことを祈って。
美鈴サンタに参加して 種市真澄
天気予報では、雪だったので前日から覚悟して居ましたが、ありがたいことに空は晴れてくれました。感謝です!
久々の上田さんとの嬉しい再会も果たせました。
今年初めてお手伝いさせていただきます。機会を与えてくださりありがとうございました。
興正学園と札幌乳児院に伺わせていただきましたが、どちらでも職員の方が、とても大切に子供達を育てているのが伝わり、暖かい気持ちになりました。
興正学園での"普段支援してもらっている子供達が、自主的に被災地などの支援をしている" 札幌乳児院での"子供が呼んだらとにかく駆けつける" "人を信じることの出来る人を育てる" "母親に母性のスイッチの押し方を伝える"というお話が心に残りました。
職員の方が子供達を育てるのも、私たちが我が子を育てるのも気持ちは同じですね!我が子も、そうでない子も同じ気持ちで育てていかなければと思いました。とても難しなかなか出来ないことだと思いますが、心がけたいと思います。う〜ん。でも難しい!まず自分の生活態度を正すところから始めます。
興正学園の子供達は、表情豊かで生き生きして、たくましくそして楽しみを上手に見つけながら生活していました。札幌乳児院の赤ちゃん達は天使のようで、ずっとこの子達に囲まれていたいと思いました。
今日の事は、皆様に感謝しています。ありがとうございました。
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